アメリカはコブだらけ

皆さん、スキー映画「ハロー・アメリカ」の続きを紹介します。

最初の写真は映画のタイトルバックの映像です。

映像では砂漠の中をスキーとトランクだけを持って歩いています。

スキーヤー小林平康がアメリカを旅をする映画なのでどんな映像でもアメリカであればよかったのです。スキーは私が基礎スキーに転向するのに合わせて発売した「ジェネシス」1.3 198cmです。 当時は選手時代にお世話になった「ルック・ネバダ」のビンディングを使用していました。 ジェネシスはグラスをダブルしたスキーで大好きでした。グラスをダブルしたため返りが早く粘り強いスキーです。コブ斜面で返りがソフトで早いと滑りやすいので自信をもって滑っていました。当時のメタルスキーは返りは早いけどハードで体が浮いてしまいます。  このスキーだったのでアメリカでの撮影は順調でした。

なぜ順調かと言うとアメリカは雪があるところはほとんど「コブ」だらけだったのです。 日本は整備された場所は滑れてもオフピステを滑るスキーヤーがあまりいませんでした。 しかし、アメリカは雪があるとどこでも滑っていたのでオフピステも「コブだらけ」だったのです。

カメラマンや演出家としては「パウダー」を滑る映像が欲しかったようですが、アメリカはパウダーの下がコブ斜面だったのです。(笑い)

この頃はコブを滑るのが好きだったのでコブの撮影は楽しかったですよ。。。 林間を滑るツリーランも出来ましたが、どこでもコブがありました。 そのため天気が良く2日間撮影が続くと体がもちません。 明日は雪か曇りになって欲しいと願ったこともあります。

コブの写真を見てください。

アスペン・ハイランドのオンピステですがコブだらけです。

上からトップスピードで中急斜面に飛び込んだところです。 変化する斜面の手前で強いエッジングで雪煙を上げてから斜面に飛び込みました。 整地ではないので飛び込んだ斜面がどんなっているか予測できないので上体を真っすぐ整えています。上体が少しでも傾くと斜面対応に遅れることがあるのでこのバランスになりました。 コブの形状を見てください。 今どきの「ミゾコブ」ではありません。 当時は一般スキーヤーも2m前後の長さを使っていました。そのためコブの形状は大きく深い形状がほとんでです。 ミゾコブの特徴である階段状になっていませんね。 コブから受けた反動で飛んでいます。 この頃は反動を吸収することもありましたが、反動を生かす滑りを楽しんでいました。 ランダムなコブを沢山滑ると反動をどう処理するかが課題です。 スピードにもよりますがこの時は、およそ60km前後のスピードなのでコブから受ける反動は大きく、処理するタイミングが重要です。飛ぶか吸収するか100分の1秒で判断していたと思います。(個人の感覚)

林間コース、オフピステでパウダーの下はコブだらけです。

オンピステのコブは形状が見えるので判断も的確になりますが、このようにパウダーの下がコブになっていると的確な判断が出来ずコブから反動を受けてから対応しなければなりません。 このようなコンデションで滑ったことのある人は分かると思いますが、受けてから対応するのがどんなに難しいかです。 例えば上の写真、コブから弾き飛ばされています。体が浮いた瞬間、無理に抱え込まず体を伸ばして着地地点を探っています。 上体の構えを見ると着地した時どんなバランスが良いかを判断しているようです。 コブを得意としている人達にも同じような一瞬がありますね。

所々にフレッシュパウダーがあります。雪質も良いので人が滑った後でも楽に滑れました。

コブだらけの話ばかりですが、上の写真のようにパウダーも楽しめました。 リフトを降りてトラバースして人があまり入っていない所にパウダーがあります。 今も昔もアメリカのスキーヤーはパウダー好きですね。 沢山滑るのでどこでもコブだったのです。(笑い) 撮影期間中のスキー場には沢山のスキーヤーです。(スノーボードはまだですよ) そのため、天気待ちより人待ちが沢山ありました。ハロー・アメリカでは映像に他のスキーヤーが多くのです。 人がいないとスタート合図がありスタートします。 滑っているとどこからともなく人が現れるのです。 アメリカ人の自由奔放さが画面に映っています。

次回はアメリカのスキーヤーや町の風景などの雑感です。